デラングによる「対 Markdown 戦略」を市場戦略の一環として加えることにした。昨日こんなツイストを書いてみて,デラングがデライト市場戦略の中で大きな役割を担えることを確信した。
デライト市場戦略のこれまで
デライト市場戦略は,まず対 Roam Research 戦略を中核としたところから始まり,第二次市場戦略以後は対 Notion 戦略を一環と位置付けていた。要は,旧来の個人知識管理通類の限界を越えようとするこれらのサービスの流行を利用して,最も根源的に個人知識管理の革新を目指すデライトを売り込む,という目論見だった。
しかし,英語圏での事情は多少異なるようだが,少なくとも日本ではどちらもそこまで大きなうねりにはなっていない。一番勢いのある Notion ですら,まだ「一部界隈の流行」の域を出ていない。個人知識管理サービス市場も,全体としてそこまで拡大しているようには見えない。
結局のところ,デライトが必要になる層というのは「既存の個人知識管理通類に限界を感じている人」なわけで,その層が広がってくれることがデライトにとって一番の追い風だ。その当てが外れた格好になっていた。
個人知識管理サービス市場への苛立ち
第二次市場戦略以後は,こうした外部環境への依存から脱却しているので致命的な問題にはならなかったものの,個人知識管理サービス市場の拡大の遅さに対する苛立ちというのは常にあった。
「個人知識管理サービス」という枠組みにこだわるべきではないのかもしれない,とも考えた。
極端な話,デライトを「ゲーム」として売り込むのはどうかと考えたことすらある。「マインドクラフト」という言葉を造ったこともあるが,テキストによる箱庭ゲームと言えなくもないし,ゲームなら独自用語の多さも独特な世界観も演出になる。
そこまで行かなくとも,KNS なのだから SNS 方面に売り込むかなどとも考えたが,結局,根想からこれまで練り上げてきたものを考えると,そう簡単な話ではない。中途半端にあれこれやればますますややこしいものになってしまう。
個人知識管理サービス市場の狭さを越えて
最近のデラング整備の急速な進展により,他の軽標記言語との比較研究も進む中で,Markdown が想像以上に様々な分野に浸透していることに気付いた。
個人知識管理サービスでいえば,Evernote,Notion,Roam Research と,これまでデライトが意識することの多かったサービスはほぼ Markdown 対応であり,別種のサービスや選り手などへの広がりも非常に大きい。つまり,比較対象として,より幅広い層の関心を集められる。
これこそ,常々感じていた「個人知識管理サービス市場の狭さ」を越えていく道筋ではないかと思うようになった。
市場戦略としてのデラング
デラングはもともと「DIL」と呼んでいたデルン最初期から独立した言語だった。というのも,デルン初期実装では今でいう描写に使う言語は選択式であり,プルダウンメニューから txt や HTML などとともに DIL が選択出来る,という設計だった。
ただ,長い描出経験の中でほぼ必要なかったので,単純化を志向するデライト中心に移行する過程でこの選択方式は廃止となった。
この時点で,デラングにも岐路があった。単なる「デライト記法」の内部名称となるか,軽標記言語としてあえて主張するかだ。後者を取ったのは,「デラング」を正式名称として採用することにした昨年3月3日4歩のことだった。
「デライト記法」,あるいは当時考えていた「描写記法」とすると閉鎖的で恣意的なものという印象を与えてしまうが,「デラング」という言語とすることで外向きで体系的な印象を与える。もちろん,当時から Markdown を意識してはいたが,そこまで大きな位置付けではなかった。やはり,デラング整備の進展とともに認識が深まった感がある。
それこそ,デラングが Markdown のように注目を集めるようになったら,デライトに多大な利益がもたらされることは考えるまでもない。知能増幅サービスとしてのデライト自体よりも,軽標記言語としてのデラングの方がはるかにその役割が理解しやすいことを考えれば,そこまで非現実的な話でもないし,その技術も手応えも十二分にある。
まだデラング中心の「第四次デライト市場戦略」にすべきというほどの確信があるわけではなく,デラング整備は新生デライト開発に含まれるので,第三次デライト市場戦略に有力な武器が加わったというところか。