先日の一日一文「デライトの対 Notion 戦略」で書いた通り,現在,デライトも含めた全ての個人知識管理(PKM)サービスの市場戦略において意識せざるをえないのは Notion だろう。
一方で,Notion の立場も盤石ではない,という意味のことも書いた。私が「個人知識管理サービス」と呼んでいる分野では,新興サービスが雨後の筍のように登場している。私も全ては把握しきれていない。それだけ問題意識が尽きない分野であるということなのだろう。
今や個人知識管理サービス市場は「戦国時代」だ。盛者必衰,Evernote であれ Notion であれ,安心していられる者はいない。
そして私は,この個人知識管理サービスこそ,検索演心,SNS に続くインターネットの一大産業になると確信している。知識産業の中で果す役割を考えれば“当然”の帰結だ。
つまり,この「戦国時代」を制した企業がいわゆる GAFAM のように成長していくことになる。
問題は,ただでさえ知識産業で遅れを取っている日本で,十分戦えそうなサービスがただの一つも存在していない,ということだ。私はこれに強い危機感を覚えている。この種のサービスが知識産業化を加速させていくものなら,ここで遅れを取った日本は,半永久的に取り返せない差を付けられることになる。
「日本語におけるルビの重要性について」でも書いたように,デライトは日本語を重視し,日本語を最大限活用出来るように工夫を重ねている。一方,いま流行りの Notion は日本語対応ですら「予定」の状態だ。これが何を意味するのかは,読者の想像力を信頼していちいち言うまい。
幸い,今は「戦国時代」だ。どんなに小さな勢力にでも番狂わせの機会はある。そして,これこそが,知識産業で日本が大逆転しうる最後の機会だ。