現時点ではやはり \ce( ... \)
と \ce[ ... \]
が最も無難な記法であると結論付けた。
昨日直感的にこの記法を思いついたが,実際に使ってみると,閉じ括弧前の \
を忘れやすいという問題に気付いた。慣れの問題もあるので欠点と結論付けるのは早いが,数式記法の \( ... \)
と比べて \ce( ... \)
は括弧の対応関係が直感的に認識しにくいというのはありそうだ。
TeX では \ce{ ... }
を数式模動の内側に書く必要は無いため,いっそのこと,これだけでもいいのではないかと思った。
しかし,これだと化学記法というよりは TeX 風記法で mhchem を使っているように見えてしまう。TeX ではバックスラッシュと波括弧が多用されるからこれが自然に見えるだけで,デライトでこれがぽつんとあっても違和感が大きい。特に波括弧はデライトにおいて特別な記号なので,濫用は避けたい。いずれにせよ行内と別行立ての書き分けが出来ず,書き分けせずに文脈で挙動を変えれば TeX 的でもなくなるので,良い案ではなかった。
「似た機能は似た形態に」という言語設計の原則に立ち返ると,やはり化学記法は数式記法に似ているべきだろう。
では,閉じ括弧前のバックスラッシュを省略可にするかと考えたが,これは実装上の問題が大きい。入れ子になりうる閉じ記号の処理は出来なくはないが一気に面倒になる。しかも,化学記法でそれをすると数式記法でもしないと整合的ではなくなる。現時点で化学記法の使い勝手のためにそこまでの実装コストを払う意義は見出せない。