体調は持ち直したが,考え事が多かった。というより,ここ数日の脳疲労の一因がこの考え事にあることに気付いた。
10月から長期戦態勢に転換し,時間に追われることなく悠々自適な生活を送っていたが,第三次快調期といっていい最近のデライト開発で,また危険な欲が出てきている。
デライトが進歩すればするほど,更なる進歩のための時間が欲しくなる。時間を捻出するための金も欲しくなる。とにかくこの疾走感を失いたくない,という感情が日毎高まっている。そして,今のデライトにはすぐにでも完全な成功を果す力がある,という期待感もまた日毎高まっている。
一方でこれは,希哲館事業を危険にさらす衝動でもある。このまま悠々自適な長期戦態勢を維持すれば,いつになるかはさておきデライトの完全な成功は確実に果せるだろう。しかし,それを希哲館事業の理想の実現に繋げるためには,やはり早さが必要になる。冒険を避けていては,その可能性が時間とともに失われていく。
希哲館事業にとっては,急いても待っても崖っ縁だ。無理をしてもいけないが,悠長に構えていてもいけない。ここ数日,激しいせめぎあいが続いていた。
一刻も早い希哲館事業の成功のために全てを賭けるか,確実な成功のために危険を徹底的に排除するか,という両極端な思考に陥いっていることに今日ふと気付き,「ばら成しを取る」という選択肢が見えてきた。最低限の安全網は確保しつつ,しっかり冒険もする,という道を探ることにして,ようやく気持ちが落ち着いた。
昼頃,希哲荘の古い給湯器がついに壊れて湯が出なくなった(整清記録)。
最初は,この忙しくて寒い時期に,と少し腹が立ったが,17年以上持ち堪えたかと思うと,だんだん感謝の念が湧いてきた。希哲館事業のために,色々な物や人に無理をさせてきたんだなと感傷的になったりもした。
そんな気持ちが通じたのか,深夜になってなぜかまた湯が出るようになった。新しい給湯器が来るまで持ってくれれば大助かりだ。
一応,給湯器が使えなくても何とかなるように対策は講じておいた。久しぶりの非常事態で,あれこれ試行錯誤するのもちょっと楽しかった。