これまで巷の個人知識管理サービスと同類のようなフリをしていたデライトだが,決定版の無い状況で知能増幅メモサービスとして差別化を徹底,一気に「抜け駆け」するには絶好の時期……という考えはほぼ固まっている。
しかし,まだ頭の中に引っかかりがある。新デライト市場戦略について整理し切るにはもう数日必要か。……と書いて寝ようとしたところ,この引っかかりが知能増幅の受容に対する不透明感であることに気付く。
射雨を浴びながら,するすると整理が進み,結局,新デライト市場戦略への移行を決定した。総合的に失うものはないだろうというのが決め手となった。
旧デライト市場戦略が差別化の点で問題を抱えているのは明らかだが,かといって知能増幅メモサービスなどというものが世の中に受け入れられるかどうかは未知数としか言えなかった。
踏ん切りのつかない理由が分かってしまえば,あとはどちらがマシかで決めるしかなく,行き詰まりの明らかな旧戦略よりは少しでも望みのある新戦略を選ぶしかない。
「知能増幅」は一見世の中に受け入れられそうもない言葉ではあるが,流行語というのは得てしてそういうもので,考えようによっては大流行する可能性を秘めているとも言える。中途半端にぶら下げているだけならただの荷物だが,思い切って掲げればどこよりも目立つ看板だ。
掲げる以上は,カセット効果を利用して上手く演待化し,知能増幅ブームを煽る戦略的な宣伝が必要になるだろう。