先日の一日一文でも書いたように,希哲館事業では「ジパング計画」を推進している。知能増幅(IA)技術による知識産業革命を日本で起こし,日本主導で新しい国際秩序を作っていこうという計画だ。
私自身も希哲館事業も一見して“日本人らしい”とは言えないが,どちらも,紛れもなく,現代日本の産物だ。だから,「なぜ日本なのか」という問いも本来はおかしい。
私は日本生まれ日本育ちの日本人で,日本社会に温かく育ててもらった。平気でこんなことをやっていられるくらいだから,甘やかされた,と言った方が正確かもしれない。家族,親戚,友人,知人,みな良い人ばかりに囲まれて,日本にも日本人にも良い思い出しかない。
希哲館事業も,そんな日本から生まれて育った事業だ。散々日本人に助けられてここまでやって来れた。デライト用者も,恐らくは日本人ばかりだろう。希哲館事業が日本で,日本の繁栄を重視するのは自然なことだ。
もちろん,事業本拠地の要件として「日本でなければならない理由」はいくつもある。政治的安定性,法的自由度,宗教的寛容,地政学的利点,社会基盤……どちらかといえば,今日はこういうことを書こうと思っていたのだが,書き始めてから,「なぜ日本なのか」という問い自体の悲しい面白さについて考えてしまった。
“日本脱出”のような言説があまりにも普通になってしまった今の日本では,日本人が日本を選ぶ理由を考えなくてはならない。
確かに,情技(IT)業界でも,最近は日本人が作った柔品やサービスが最初から英語表示で,英語版以外無いことも多い。見かけるたびに複雑な気分にさせられる。日本人自身が日本に目を向けなくなりつつあるのだ。
それでも私は,日本から世界史上最大の企業を生み出せるし,日本を世界史上最大の極大国にすることが出来ると思っている。そして,日本語がいまの英語をも凌ぐ世界の言語になるだろう。決して夢ではない。それを現実にするジパング計画という地図がここにある。