心身の調子はすこぶる良く,雑務・執筆・開発と仕事もばら成し良く捗りと,長期安定体制下の黄金日と言える一日だった。
一日一文では,つなぎのつもりで気軽に書き始めた老いと若さの話が意外な広がりを見せ,若干困惑している。
睡眠時間についての全知検索をしながら,陶練が睡眠の質向上に役立ったことを思い出した。いよいよ陶練の再開が避け難くなってきた。
開発では地味な作業の積み重ねが目に見える成果になってくる一番楽しいところに来たが,ふと思い立って,雑務の抜本的な見直しも始めた。いよいよ本格的にデライト以前のような生活に戻れそうだ。
ここ半年ほど,希哲館事業外での体験に求めるものが増えてきたような,不思議な心境の変化を感じていたが,その原因も少しずつ掴めてきた。やはり,長期戦態勢に切り替えたあたりから精神的なゆとりが出来たのだろう。
新生デライトの完成を目前に第五次デライト市場戦略も固まり,気付けばデライトの完全な成功や希哲館事業の成功に対する焦りも無くなっている。油断するわけではないが,もうここまで来たら,あとはばら成し良く色々なものに磨きをかけながらその時を待つしかない,という心境になっている。少なくとも最低限やるべきことはやったし,時代を迎えに来れるところまでは来た。
思えば,私の人生は17歳の頃から希哲館事業の不可能性との闘いだった。特に,デルンの実用化に向けて本格的に走り出した頃からは,希哲館事業外で使うあらゆる力とあらゆる時間が惜しかった。そんな呪縛からも解き放たれたようだ。
今はこのデライトがあり,知識も経験も十二分に得て多くの迷いが無くなり,希哲荘を中心とした理想的な生活環境も整っている。これでデライト以前のような安定感を取り戻せるならそれほど心強いことはない。もはや無敵だ。
そんなことを考えていたら高揚してきてなかなか寝付けなかった。
デライト3周年,コロナ収束,誕生日……と何かと大きな節目が重なる時期だが,それも気分の切り替えに一役買っているのかもしれない。デライト正式離立からの3年がコロナ禍の社会の雰囲気と共にあった,というのが特に大きいのかもしれない。
テーマ切り替えボタンの用合い検討(4歩),新規描出フォームへの移動機能として吹き描き外背景のダブルクリック用合いの復活(10歩),全知検索ページャー周りの調整(16歩),こまごまとした領当て・装体調整(17歩)といった雑多ながら充実した作業を片付け,ついに描写後略機能を一段落させた(21歩)。出振るい・手定め済み。
描写後略機能により,デライト最初期から吹き描きの構造的問題だった「不必要な出与え読み込みの多さ」という問題が解消した。表示速度向上,通信量削減,SEO 強化,迷惑行為対策など多大な効果が見込める。
昨年末の壊衝不具合修正以後,デライトは速度・安定性ともにウェブ相振りとして十分な水準に達していたが,今回の高速化を経て,明らかにもう一つ壁を越えた感がある。体感として,「ウェブ相振りなら特に不満のない速さ」から「単動相振りと比べても遜色のない速さ」になった。
一昨年4月9日に掲げた「全ページ0.3秒以内表示」という目標は埋め込み利素を考えると現実的ではない気がしてきたものの,軽いページでは200ms台,重いページでも概ね300ms台で応答出来るようになっている。実感として欲しかった速度は手に入れられたし,最適化余地はまだまだ残しているので「埋め込み利素を除いてほぼ全てのページで0.3秒以内表示」なら十分手が届く。いよいよ本格的に,速さがデライトの武器になってきた。
ここで新生デライト開発におけるデライト高速化は一段落とし,今後は機能追加やトラフィックに応じた微調整に留め,別の機能整備に集中することにした。
その先のデライト高速化については,大きなところでは CDN 導入,KNEST による水平拡大,請い手の隠し機能整備,描写 HTML 隠し以外の HTML 隠し実装,そして中途半端な状態で放置しているページ付け求頼改良があるが,どれも現時点での優先順位は低い。
いよいよ脳爆発も本格化したようで,四方八方に拡がる思考の整理に時間がかかっている。収穫は多いが,脳疲労感が隠せなくなってきた。
当努整理も組計整理も大きく進んだが,デライト市場戦略についての頭の整理が進んだのが特に大きかった。
昨日の日記を書きつつ,「デライトに熱中しながら周囲とデライトを共有しようとしない人」の最たる例としての自分自身について考えていた。公開しているのだから見られて困ることは書いていないが,それと積極的に見せたいかどうかは別問題だ。重用者であればあるほど,デライトで扱っている情報は,現実の人間関係にとって深過ぎるし重過ぎる。
ここで,イノベーター理論に対して抱いていた疑問が氷解し始めた。
最近,「デライトのキャズム」という表現を使っていたのは,イノベーター理論でいう「キャズム」とは違う溝がデライトにはあるのではないか,と感じていたからだ。これは恐らく正しかった。デライトのキャズムは,アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間ではなく,イノベーターとアーリーアダプターの間にある。典型的なイノベーションの枠を大きく越えているデライトの独自性が,キャズムをイノベーター側に引き寄せてしまっている。
物珍しさでデライトを使ってくれる人はイノベーターなのであって,趣味嗜好の特殊性から比較的孤立しており,そもそも潜在用者への影響力を期待出来る層ではない。影響力を持つのはアーリーアダプターであり,デライトがこれから獲得しようとしている層だ。私はここを少し混同していた。そして,アーリーアダプターというのは実利を重視する層だ。
イノベーターをどれだけ喜ばせても,それだけでは横の広がりにはならない。誰よりもデライトに価値を見出している私自身が証明するように,デライトではなおのこと内にこもりやすい。周囲と共有出来ないようなものをいくらネットで宣伝しても,縁遠い誰かがよく分からないものについて語っているとしか思われない。
いよいよ脳過熱も限界に達したようで,昼過ぎから21時頃までぐったりしていた。それでもなんとか全文検索機能実装は成功させた。文書整備には着手出来なかったが,神経を使った甲斐あって組計の見通しはだいぶ良くなった。
本日をもって第四次宣伝攻勢,律動的集中生活を終えるが,結果的に毎日1時間程度の宣伝活動を定着させるという意義が大きかったので,宣伝量は今後も無理なく維持出来るだろう。開発でも大工事は全て片付けているため,少しずつ進めていける状態になっている。
予定通りに行かないことは多かったが,例によって想定外の収穫も多く,凸凹な結果となった。総合的に,出来るだけのこと,今やっておくべきことはやったという達成感がある。
今後は雑務を増やしつつ,出来れば10月中,遅くとも年内の新生デライトの完成,デライトの完全な成功を目指す。指標的に良い傾向もあり,十分期待出来る。
定休日のため無理をしない程度に作業をしようと思っていたが,一日,思いのほかぼーっと過ごせた。最近,休むに休めないことが問題だったので,少し安心した。久しぶりにぶらぶらサイクリングも出来た。
脳爆発に整理をつける糸口が掴めたことでだいぶ気が楽になったようだ。
第四次黄金状態では脳爆発に抗わず,むしろ促進してしまった方が良い,と考えてからしばらくは上手く行っていたが,こう脳爆発が続くと,噴煙で視界が悪くなるように頭の整理が出来なくなってくる。
これが心理的負担だったようで,最近,生活習慣は乱れがちで,心身の調子も概ね良好ではあるものの黄金状態というほど冴えてもいない,という微妙な状態が続いていた。
大輪郭整備を経て脳爆発が完全に利用出来るようになれば,今度こそ本当に第四次黄金状態を物にしたと言えるだろう。
ウクライナ侵攻についても,初めてまともに考えることが出来た。侵攻が始まった2月24日は,ちょうど新しい脳爆発の連鎖が起き始めた日で,まともに考える余裕が無かった。
20代のころロシア史を熱心に勉強して,『ラドガに到着したリューリクと兄弟達』を希哲館素材絵画にしたり,虎哲と並ぶ新交通機関構想にリューリクをもじった「竜力」という名前を付けたりしていた私にとって,運命を感じる事件ではあった。
そして,あの英米政治危機から顕在化した自由民主主義の脆弱さが招いた結果だ。私に出来ることは,知識産業革命を成し遂げ,希哲民主主義を確立し,独裁者に付け入る隙を与えない,強い自由民主主義を作り上げることしかない。私にしか出来ないことでもある。
ジパング計画にもいよいよ猶予が無くなってきたが,もう麻痺しているのか,不思議と重圧感は無かった。
最近,休むに休めず脳疲労感が募るが,もしかしたらパンくず記法と前次記法のせいかもしれない,という気がした。
前次記法が出来た2月24日からまたまとめ作業が追い付かなくなっている。考え事が四方八方に飛び火し脳爆発を誘発していて,収穫も多いが,そこまで手が動かない。
振り返れば,パンくず記法が出来た1月14日以後もしばらく同じような状態だった。
両記法とも,長年のデルンの課題を解決したもので,実際,かなり多用するようになっている。ただでさえ常軌を逸した知能増幅技術であるデライトが,いよいよヒトの物理的限界に迫ってきたか。
面白いことに,パンくず記法の実装あたりから目に見えて検索演心による評価も上がっている。
デライト広告に関して,大きな節目となる出来事があった。広告収益に対するいくつかの懸念が解消し,現状の方式で十分な収益化が可能であることが実証された。
来ると分かっていたことで,金額としては微々たるものだが,新生デライトの完成を目前にしたデライトの現状を考えれば意義は大きく,現実になると想像以上に嬉しかった。いよいよ稼げるサービスになってきたという実感がわく。“絵に描いた完璧な餅”のようだったデライトが,“食べられる完璧な餅”になりつつある。
デライト開発を始めてからほとんど常に開発者として過ごしてきたが,定休日ということもあり,久しぶりに経営者らしい考え事に時間を費した。
最初のデライト収益目標は,一昨年10月7日に希哲館事業収益化の目標とした月間売上20万円を見直す暇もなく引き継いできたが,これを月間売上100万円に引き上げることにした。失敗しても必要以上の売上が確保が出来る程度に目標は高く持っておいた方がいいだろう。ここのところで閾値を越えた感もあり,感覚的にもしっくりくる。
仮に100万円の売上があれば,捌き手増強など経費増を多めに見ても90万円以上が粗利益になるだろう。サービスの性質上,広告費は最小限で済み,もはや競争力維持のための研究開発費もそう要らない。驚異的な営業利益率を維持したまま売上を拡大し続けられる仕組みが整っている。
冷静に考えると GAFAM も真っ青な末恐ろしい商売だ。収益化まで成功させた世界初の知能増幅技術でありハイパーメディアの集大成ともなれば,「知識産業革命」というのも伊達ではない。胸が高鳴る。