希哲14年6月20日,安定した超黄金状態を指して使い始める。
デライト正式離立に取り組み始めた昨年12月頃,「超黄金状態」を自覚し始めるが,持続的ではなく,安定化させる方法を模索していた。
デライト開発が一段落した後の生活習慣再改善の中で,希哲14年5月11日には久しぶりに超黄金状態を取り戻した。6月から安定した生活の中で発現するようになった。
この日も少し疲労感が強く調子が出るまでに時間がかかったが,一昨日から続くこの疲労感の正体は分かった。
やはり,身内に関するわだかまりがまだ残っている。昔からずっと引きずっていることではあるが,久しぶりに叔父の顔を見てからまた再燃したのだろう。今朝,それがはっきり分かる夢で目覚めて確信した。
いずれにせよデライト収益乗軌化を果すことが必要だが,この問題の解消に向けて行動することを決意した。最近の成功体験もある。祖父母もそれを望んでいるに違いない。
最近,デラング整備を中心とした黄金循環が出来ているように感じる。全知検索を中心としていた黄金循環を「第一次黄金循環」として,これを「第二次黄金状態」とすべきか考え始めた。「第二次快調期」とも被りそうだ。
実質的に休養が取れていないことが分かったので,少し利楽して早めに休むかと思ったが,寝支度をする頃に脳爆発が起きてしまった。
一日の間に,第二次黄金状態から第三次黄金状態への移行を観測,これをもって「第三次黄金状態の回復」とした。
経験上,新黄金状態では時間の体感密度が数倍になる。この一ヶ月が数ヶ月にも感じられるわけで,時期と状況を踏まえれば極めて大きな収穫と言える。
日中は,輪郭整備から朝の一日一文への流れも非常に上手く行き,以降は握接遮断をすることで集中力の維持に成功,デライト開発にもよく集中出来た。ただ,朝から些細なことで苛立ちを感じることが多いのが不思議だった。
第三次生活習慣改善が進んでからもなかなか改善しなかった胃腸の調子,睡眠の質,右目の三重瞼など,こまごまとした問題にも改善が見えるようになり,いよいよ問題という問題も無くなってきた。しいて気になることと言えば,食事がまだ成り行き任せなことくらいだが,もはや粗探しに近い。
組計も環境もほぼ完璧に整っている。これはもう「黄金生活」と言っていいのではないか。雑魚を一掃し,あとはデライト収益目標達成という親玉を残すのみという状況だ。自然と焦点も定まってくる。
……そんなことを考えながら歩いていると,身体の奥底から温かい快感が湧き出し,全身を満たしていくような感覚を覚えた。この感覚は,間違いなく第三次黄金状態のそれだった。
面白いことに,苛立ちからの発現の過程が最初に第三次黄金状態を体験した時によく似ている(希哲14年7月4日の日記)。
4日から精神状態は穏やかで安定しているため,これを「第三次黄金状態」と仮定し,この状態の維持に努めることにした。「新黄金状態」は第二次黄金状態以後の総称として引き続き使っていく。
第三次黄金状態がデライト開発にとって大きな意義を持つとすれば,それは何より「人のため」という考え方を取り戻せたことだろう。人間らしさを失うということは,人のためにならなくても世のためにならなくても良いし,突き詰めれば人間として存在する必要すらないということだ。かつて通った道でもある。
体調記録にもあれこれ書き込んでいるが,今日は生活や健康に関しての調べ物,考え事も多かった。それでも開発はそれなりに進んでいるのだから,やはり強くなっている。
最近,瞼の異常で眼精疲労に注意するようになったが,これを機に,進捗時限法における小休憩時間の使い方も見直した。これまで,小休憩時間は完全に気分任せで過ごしていた。目を休めることを度々意識しては忘れる原因がここにありそうだった。
まず,小休憩時間に入ったら必ずすぐに立つことにした。ここで少し体操をしたり,トイレに行ったり,コーヒーを入れたりして,戻ってから目を瞑って残り時間を待つ。これを逆にやりがちなのだが,それでは残り時間が気になって目を開けてしまうし,落ち着かない。目を瞑ると目だけではなく脳も休まり集中力が回復する感覚は確かにある。加えて,情報遮断で気が散らないようにする効果もあるだろう。
また,歯磨きも個人機の前に座ってあれこれやりながらしてしまう癖があるので,これも鏡の前で位置を意識しながら磨くように今晩から改めることにした。磨き方の偏りによる磨き残し・磨き過ぎを防ぐ。
整理が付かないうちに夜遅くなってしまったため,この日考えていたことを翌日,翌々日に整理して書いている。
昼頃,何気ないことから鎌倉入りの目標を思い出し,持ち辺がまた一段と高まった。鎌倉入りに関しては5月26日の日記でも触れているが,この頃はまだ新黄金状態どころか今後の見通しすら立っていなかったので,全く違う新鮮な感覚だった。
夕方頃になり,極めて興味深い心境の変化を体験した。新黄金状態になってから失っている気がしていた人間らしい感情が戻ってきたのだ。
実は,新黄金状態になってからというもの,感情が冷たく,硬く,乾いたような,無機質な感じになっていることには薄々気付いていた。この前日の日記にも,非常に苛立ちやすくなっていることを記しているが,感情が快か不快かに単純化されているような気がしていた。
新黄金状態,もとい第二次黄金状態というのは,規則正しい生活と健康の上に頭脳の活性化,高い身体感度,高揚感・多幸感などが持続するという状態であり,それは偽りではなかった。確かに,毎日が自然に笑い出したり踊り出したりするほど楽しく,活力に溢れ,仕事も捗る。一見,理想的な状態だ。
それだけ素晴しい状態であれば,仏のように穏やかに,寛容に,慈悲深くなりそうなものだが,不思議と些細なことで苛立つようになり,他人には厳しく冷たくなっていた。まるでサイボーグにでもなったかのように,他者への共感や思いやりを急速に失っていた。
思えば,この新黄金状態における「楽しさ」も,どこか情緒に欠けていた。ただ身体が物理的な理想状態にあるだけで,それを維持するために違和感・不快感を反射的に排除しようとしていたのが例の「苛立ち」だったのかもしれない。最近,痒みが気になることが多く,肌の乾燥に注意していたが,心にも似たような問題があるのではないかという気がした。躁状態に似た傾向があることにも気付いていた。
この心境に変調が見られたのは,この日の夕方頃だった。午後になって熊本の豪雨による被害が報道されだしていた。この時私は,凶事があるたびに憂鬱な気分になっていた過去の経験から,少し災害関連の情報から距離を取ろうとしていた。なにせ,ついこのあいだ金魚が死んで落ち込んだくらいなので,とにかく折角の好調が崩れることを恐れた。ところが,不意に,老人ホームで14人が心肺停止という情報が目に入ってしまった時,少し気分に重石が乗ったような感覚があった。
この少し前,私は父に姪の動画を送っていた。姉が見せていなければ,父が動く孫を見るのは初めてだろう。朝方,飼い犬の花がひどく出血して心配になることもあった。父も花も老人と老犬なので,この時は何かと感傷的になっていたのだと思う。
このあたりから,心に人間らしい潤いと柔らかさ,温かさが戻ってきたように感じた。気持ちも穏やかになり,これまでとは違う,慈愛と熱情が溢れるような快感で満たされるようになった。これまで「新黄金状態」と呼んでいた時の精神状態とは明らかに様子が違い,「第三次黄金状態」という言葉すら脳裏をよぎった。
第二次黄金状態を「真黄金状態」ではなく「新黄金状態」という表現に留めたのは,これで究極なのか,まだ確信が持てなかったからだ。とにかく状態を安定させるために抑制が必要であり,それが人間らしさの排除に繋がっていたのかもしれない。そういう意味では,この変調した状態が第三次黄金状態と呼べるほど安定するかも分からない。
しかし,第二次黄金状態が人間らしさを失うものであれば,私が希哲館事業で目指すことが実現出来ないことも確かだった。超人的な「鉄の心臓」でどれだけ強力に事業を推し進めても,最後に凡人になれなければ私にとっては無意味だ。
第二次黄金状態を得てから,私はこれが,あの閃きの残光であるように何となく感じていたが,この日,確信に変わった。
17歳での閃きから間もなく,私はこの日のこれまでのように世界から遠退いていった。それから長い葛藤期を経て人間らしさを取り戻し,希哲館事業を始める。ちょうどさっき鎌倉入りについて考えたばかりだったこともあり,駆け出しの頃の自分を再体験しているようだった。
とにかく,この体験を可能な限り克明に記録しておきたかったため,この日記は例外的に翌々日までじっくり時間をかけて書いた。前日の日記に書いた「もっと穏やかに過ごせるようにしたい」という望みが次の日には叶ったのだから,それだけの価値はあるだろう。
1日,少なくとも7月一杯までデライト開発に専念出来ることが確定。
結果的に組計上の不確定要素が最良の場合に落ち着くも,最悪の場合を想定した短期集中生活を始めようとしていたところで,当初はあえて継続することにしていた。
3日,疲労の蓄積を感じ短期集中生活に入ることを中止,生活習慣再改善を続けることにし,5日には復調。
鼻付き吹き描きの実装・領当てが概ね完成。11日には出振るい出来た。
粘り強く生活習慣再改善を続け,20日,ついに新黄金状態(第二次黄金状態)に入る。本来この日までの目標としていたデライト離立補完は達成出来なかったが,デライト収益化のためにはむしろ良い結果と判断し,状態維持を優先することにした。
24日,かねてより希哲館情報技術体系についての記憶が薄れつつあることを感じていたこともあり,備忘録としての『希哲技典』の必要性を認識,26日,整備に着手。
新黄金状態以降は心境の変化が大きく,月末の計画見直しを機に従来の追い込み管理から脱却することにした。
微肥満の解消など,生活面では細かい改善点も多かったが,新黄金状態の鍵になったことから特に血行促進を考えることが多くなり,毎日湯船に浸かることにし,入浴記録を始めるなどした。
今月中には達成したかったデライト離立補完には至らなかったが,今月は新黄金状態の獲得が大き過ぎたため,思い残すことはない。
計画を少し見直そうと考えた時,デライト収益化の目標も「追い込み管理」になっていることに気付いた。
6月1日に7月一杯までデライト開発に専念することを想定したが,実は,8月まで何とかなりそうではあった。それでも7月一杯,それも少し早めて7月20日までに結果を出すと決めたのは,これまでもそうやって自分を追い込んできたからだった。
私には『ウサギとカメ』でいうところのウサギのようなところがあり,余裕があると思うと,一日中とりとめもない考え事をして過ごしてしまうことも多く,追い込み管理はこういう自分に焦燥感を与えるための方法だった。
しかし,新黄金状態こと第二次黄金状態に入ったことで,これも考え直さなければならなくなった。第二次黄金状態とは,持続可能な範囲で最大限心身の力を引き出している状態であり,無闇な追い込みはかえって空回りや反動を招きかねない。
結局,重要なことは毎日最善を尽くし,最大限の力を発揮することだ。特に私の場合,常に未知の領域を歩いているのだから,それさえ出来ていれば,あとは野となれ山となれだ。こう思えたのは大きな心境の変化だった。
目標設定も目安として役に立つものではあるため,現状を考えてデライト離立補完は来月2眉(6日)まで,20日までのデライト収益化は必達目標から努力目標へ,代わりに8月一杯までのデライト収益化を必達目標として設定しなおした。これが追い込みを意識せず,素直に考えた場合の組計だろう。
こうしてみると,気を引き締めていた分,良い意味で時間にゆとりが感じられる。これが追い込み管理最後の効果になってほしい。