最近は「仮想通貨」ではなく「暗号資産」というらしい。
仮想通貨って結局は各国発行の通貨と兌換性が在ることになってる情報の単位ってだけで、使用され続ける動力の割には資産としての価値は低いんだよな。いやまあクラークが『地球帝国』でふんわり描写していたエネルギ本位制への過渡期と捉えられん事もないのだけど。
最近は「仮想通貨」ではなく「暗号資産」というらしい。
仮想通貨って結局は各国発行の通貨と兌換性が在ることになってる情報の単位ってだけで、使用され続ける動力の割には資産としての価値は低いんだよな。いやまあクラークが『地球帝国』でふんわり描写していたエネルギ本位制への過渡期と捉えられん事もないのだけど。
人工知能,仮想通貨・暗号通貨,仮想現実・仮想世界……等々,様々な分野が世界的な注目を集める中,これらを凌ぐ潜在力があるにもかかわらず,まともに語っているのは私だけなのではないか,と思えてしまう分野がある。それが「知能増幅」(IA: intelligence amplification)だ。
知能増幅というのは,文字通り,工学的に人間の知能を増幅させることを指す。古くからある研究分野だが,人工知能などに比べてその話題性は著しく乏しい(参考)。この言葉に「人体改造」に近い響きを感じる人は多いだろう。実際,脳にチップを埋め込む,遺伝子を書き換えるといった人体改造的な研究がこれまでの主流で,まず倫理的課題が大きかった。倫理的課題が大きければ技術的課題を解消するための実験などもしにくく,実用段階にある技術が存在しなかった。デライトが登場するまでは,古典的な SF の域を出ず,語れることも大して無かったわけだ。
先日の「デライトの使い方の考え方」で少し触れたように,デライトは,その知能増幅を誰でも簡単に触れるメモサービスとして実現した「知能増幅メモサービス」であり,「世界初の実用的な知能増幅技術」だ。どのように実現しているかはあの文章でざっと書いたので,今回は,この知能増幅メモサービスの意義について書いてみようと思う。
私は,ビッグ・テックや GAFAM などと呼ばれる世界最大の企業群(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)が合併して「Microappglezonbook」となり,自分がその経営を思うままに出来たらどうするか,という思考実験をすることがある。答えはいつも変わらない。iPhone も Google 検索も Windows も,世界最大の SNS も世界最大の通販サイトも,何もかも売り払って,知能増幅メモサービスの開発に全てをかける。
最近何かと話題のイーロン・マスク氏と入れ替わったとしても,やることは同じだ。テスラも SpaceX も Twitter も,何もかも売り払って知能増幅メモサービスの開発に全てをかける。ちなみに,氏の事業の一つには,まさに脳にチップを埋め込む系の知能増幅技術を扱う「ニューラリンク」があるものの,やはり,他の事業ほど目立った成果もなく,あまり知られていない。
つまるところ,あらゆる分野の中で,「知能増幅」が群を抜いて大きな可能性を持っていると私は考えている。これを多くの人が理解すれば,21世紀は間違いなく「知能増幅の世紀」になるだろう。世界初の実用的な知能増幅技術であるデライトは,その嚆矢だ。
長い前置きに似合わず,知能増幅メモサービスがなぜいま最も重要なのかという本題は,拍子抜けするほど単純明快な話だ。知識が最も価値を持つ時代において,最も価値のある知識は「知識を生み出す知識」であり,最も価値のある技術は「知識を生み出す技術」だからだ。まさにそれを研究開発するのが知能増幅という分野だ。そして,知能増幅メモサービスは,最も実現性の高い,実際にデライトが実現している知能増幅技術なのだ。
個人知識管理(PKM)は人類知のあり方を変える。まだなかなか理解してもらえていないが,これはデライトも含めた希哲館事業の根底にある考えだ。
ヨーロッパでは,中世から近代に移り変わる過程で新しい思想家が多く生まれた。彼らは,宗教的権威から人間の可能性を取り戻そうとした。
累新や啓蒙時代のような運動が,デライトのような個人知識管理サービスを中心にまた現れるだろう,と私はみている。
いまや技術は「新しい神」となりつつある。人工知能や仮想通貨(暗号通貨)に対する熱狂も,人間を越えた何かへの期待という意味で,かつての神への信仰に近いものがある。
私が提唱する,個人知識管理サービスの発展形としての知能増幅(IA)サービスは,「新しい人間」のための技術だ。
司組に埋没しつつある人間の可能性と主体性を取り戻す。そんな世界史を変えるような運動が,日本から始まろうとしている。
希哲館が提唱・推進する日本の産業政策に「ジパング計画」がある。その最大の特徴は,人工知能や仮想通貨といった“流行”ではなく,「知能増幅」(IA: intelligence amplification)を中心に据えている点にある。
その目標は,知能増幅技術による知識産業革命を起こし,いわゆる GAFAM を大きく凌ぐ日本企業を創出,日本を世界史上最大の極大国に導くことだ。この日本を模体として,自由と知が共存する新しい国際秩序を創っていく。
この構想を可能にしたのは,言うまでもなく「世界初の実用的な知能増幅技術」であるデライト(デルン)だった。デライトは,いわゆるメモサービスから知能増幅サービス(知能増幅メモサービス)への発展が可能であることを理論化・実証した世界初の例でもある。
知能増幅という概念は昔からあるものだが,人工知能に比べ話題性に乏しかった理由は,実用化の目処が全く立っていないことにあった。例えば,脳にチップを埋め込むとか,遺伝子を弄るとか,現実には多くの人に受け入れられそうにない空想的な構想がほとんどだった。それを容易に触れられるものにした,という点に知能増幅技術としてのデライトの革新性がある。
昔,テッド・ネルソンという人が始めた「ザナドゥ計画」というものがある。世界で初めて「ハイパーテキスト」という概念を提示し,いま我々が使っているワールド ワイド ウェブの原型となった構想だ。
勘報機における情報の概念に革新をもたらそうとしながら頓挫した例として,ビル・ゲイツが提唱していた WinFS とともに私がよく挙げていたのがこのザナドゥ計画だった。デライトは,その志を継ぐものでもあった。
「ザナドゥ」というのは,本来はモンゴル帝国の上都のことだ。マルコ・ポーロが『東方見聞録』で広めてから,ヨーロッパでは「東洋の理想郷」に近い意味を持つようになった。
同じ『東方見聞録』に由来するのが,日本人にはお馴染みの「黄金の国ジパング」だ。当時の日本と思われる国が,金をよく産出するきらびやかな島国として伝えられた。これが「ジャパン」など外国語で日本を指す言葉の由来だとされている。
残念ながら,今の日本は知識産業で出遅れ,アメリカとの差は開く一方,中国にも追い抜かれ,“衰退途上”と言われる状況にある。
そんな日本を,古の伝説をなぞるように,「知の黄金郷」にしてみせようではないか。「ジパング計画」とは,日本の歴史と勘報の歴史の交差点に付けられた名前なのだ。