{希哲17年1月20日の開発 K#F85E/E74C-D455}
宇田川浩行全知検索演算子についての検討(1歩),交度埋め込み記法の実装方針検討と数式記法も含めた概念整理(5歩),知名デラングの対応方針についての検討(7歩),交度記法で対応言語スクリプトを動的に追加する方法についての検討(12歩)など,検討作業がよく捗った。
実作業も,交度写し取りボタン実装(13歩〜16歩),交度埋め込み記法調整などそこそこ捗ったが,特に大きかったのは,交度埋め込み記法と数式記法の概念整理が出来たことだった。
交度埋め込み記法と数式記法の概念整理
交度埋め込み記法では,対応言語に tex
,latex
,katex
を追加した。これまで katex
のみを追加するつもりだったが,意図の明示という観点から使い分けられる方が望ましい。例えば,KaTeX という実装にこだわらず LaTeX を書きたいということは十分に考えられる。
また,これまでは数式記法も KaTeX 交度埋め込み記法の糖衣構文程度に考えていたが,ここで「数式のための TeX 風記法」と位置付け直すことにした。これにより,例えば mhchem などの数式以外の応用は交度埋め込み記法を使うといった使い分けが可能になる。
Mermaid 対応以後,交度埋め込み記法で KaTeX に対応する機会を窺っていた。これは同記法を考案した時点で考えていたこと(希哲16年2月15日18歩)で,いずれ対応するつもりではあったが,30分もあれば十分だろうという実装コストの低さにもかかわらず,いまいち気が乗らなかった。
数式記法を糖衣構文として再定義する,それ以上の意義が見出せなかった。整合性という大義名分はあったが,悪い意味での冗長性を加えるような感覚もあり,なんとなくぼんやりした,すっきりしないものを感じていた。
{希哲15年8月3日の日記 K#F85E/E74C-70F9}
宇田川浩行今日の開発では仕様検討,実作業ともによく捗ったが,夕方頃まで気分がもやもやしていた。
ここ数日,新生デライト像が完成に近付くにつれ気分が重苦しくなり,悪い意味で緊張がほぐれないと感じていた。生活律動矯正の停滞にも表れているが,今日は全知検索の仕様検討が進んだことでそれが限界に達したようだった。
新生デライトの要件や仕様がまとまってきたことは当然ながらデライト開発にとって大きな進歩だ。死角がなくなり,手戻りは最小化しやすく,連鎖的な課題解消も狙いやすくなる。全体最適化は間違いなく進んでいる。しかし,なぜか単純に喜べなかった。
新生デライト開発が長期化することで,収益目標達成が困難になるような想定を更新出来ていなかったからだと,よく考えてみて気付いた。
直近の想定では,8月中に出来るだけ早く新生デライトを概ね完成させ,第四次宣伝攻勢を始め,9月中頃の収益目標達成を目論んでいた。新生デライトの要件が長大化し続けたことでこれが極めて厳しい目標になっていた。
昨日の日記にも近いことを書いているが,もはやこの順序にこだわるべきではないのだろう。今となっては,付徴追加の報告やツイストなど,作業の合間に出来る時間対効果の高いデライト宣伝で8月中の収益目標達成,9月中頃に新生デライトの完成,という方がよほど現実的に思える。視点を変えてみれば,むしろ収益目標達成に近付いている。
{デライトはなぜ“抽象的”なのか K#F85E/E74C-AECA}
宇田川浩行デライトに触れた多くの人が,デライトは“抽象的”だと言う。それもそのはず,我々が認知しうる物事の関連性を徹底的に抽象化することにより,あらゆる物事の関連性を一つの原理で捉えられるようにしたのがデライトの基礎にある「輪郭法」なのだから。
日常的な会話の中で「抽象的」と言うと,捉え所が無いとか曖昧といった悪い意味に受け止められることが多い。しかし,抽象化という能力は,数学はもちろん,情報工学の世界でも無くてはならないものだ。
工学における抽象性は,「汎用性」に近い意味を持っている。個別のものに共通する性質を取り出し,それらを一つの仕組みで捉えられるようにする。これが上手く出来ないと,論組すら難しい。
……などと御託を並べても,実際問題,デライトを多くの人に使ってもらうには,この抽象性が大きな壁であることに変わりはない。抽象的に物事を捉える能力には個人差が大きく,それも得意だという人の方が珍しい。当然ながら,これは市場戦略上の課題になる。
これを上手く解決する方法があるのか,実は開発者の中でも答えは出ていない。探せばあるのかもしれないし,結局無いのかもしれない。無いとしても,この抽象性がデライトにとって必要なものなら,無理にでも壁を乗り越えるしかない。
デライトは,これまで勘報機でも多く利用されてきた単純な階層構造やネットワーク構造の限界を越えるべく開発されたものだ。
特に「フォルダ」などとして広く使われている階層構造は,抽象性の反対,具体性(具象性)と非常に相性が良い。いくら欠点があっても,人類が階層構造から離れられなかった大きな理由だ。
個人機(PC)の普及に大きく寄与したのが「デスクトップ メタファー」であったように,具体的なモノ同士の関係として表現した方が多くの人は理解しやすい。その一方で,具体的なモノにはモノゆえの限界がある。
我々は,頭の中で多くの概念を縦横無尽に結び付けている。A にも B にも含まれている C という概念を頭の中では当たり前に扱えるが,フォルダのような物理的な入れ物 A と B に同時に入っている C というファイルを想像することは難しい。
こうした限界を越えようと様々な技術が開発されてきたが,フォルダのような“具体的”表現に頼っている限り,どうしても不自然で気持ちの悪いものになってしまう。「パソコン音痴」な人は,Windows のショートカットですら実体と区別出来ず混乱してしまうことがある。
それならいっそのこと,こうしたメタファーを廃してしまった方がいいのではないか。デライトの設計はそんな考えに基いている。だから,モノに喩えるのではなく,頭の中を直接表現した抽象画のようになっている。これをデスクトップならぬ「マインドトップ」(mindtop,念頭)と表現したこともある。
下図のように,デライトにおける「輪郭」は,視点によって一つの中身を共有出来る入れ物になっている。立体階層構造とでもいうべきこの構造を「輪郭構造」と呼ぶ。
この輪郭構造が,階層構造とネットワーク構造を{統合 K#F85E/A-3DCF}し,真に人間の{認知機能 K#F85E/A-E74C-CB77}に{調和 K#F85E/A-D4CF}するものになっている。大分長くなってしまったので,これについては後日改めて{解説 K#F85E/A-1EE6}しよう。{希哲15年4月14日の日記 K#F85E/E74C-15D7}
宇田川浩行今日は数歩程度の進捗時限を使いデライト高速化前の現状整理をしてから作業に入ろうと思っていたが,結局,現状整理に丸一日かかった。
ここでの舵取りが収益目標達成に直結することは間違いないため,等閑には出来なかった。「デライト高速化前の現状整理」にモヤモヤしていたことを大体書き出してみれば,振り返る余裕も無かったここ2ヶ月ほどのまとめになっていた。これだけ複雑なことを考えていればモヤモヤもするはずだ。
時間をかけた甲斐あって,霧が晴れたように視界がはっきりしてきた。迷いなく収益目標達成に邁進出来そうだ。これが丸一日で済んだと思えば安上がりだった。
当面,「黄金循環高速化」としてのデライト高速化を中心に臨機応変に作業を進めていくことにした。理屈はそこに書いた通りだが,簡単に言ってしまえば,この方針によってデライトの成功がずっと想像しやすくなった,ということだ。
新生デライトの機能や文書を仕上げてから第三次宣伝攻勢に入り……というこれまでの目論見では,いくら完成度に自信があっても,それが受け入れられる保証はどこにも無い。全くの空振りに終わる可能性も無くはない。そこに一抹の不安があった。
それに比べて,高速化はサービス改善の施策として外れが無い。何らかの効果は確実に見込め,努力が報われやすい。小理腑によって「速いデライト」の価値を体感出来たことが決め手になった。
高速化そのものは大当たりを狙えるような付徴でもないが,デライトにはすでに輪郭法という最大の付徴がある。すでに注目に値するものをデライトは持っている。あとは,それをいかに良く見せるか,伝わりやすくするかだ。これが今回の整理で得た大きな気付きの一つだった。
もう一つの大きな気付きは,デライト高速化が黄金循環高速化でもある,ということだった。直感任せが悪い意味で無軌道になりつつあると感じていたが,「快調期」に入る前によく考えていた黄金循環がここで軸になるとは思いもしなかった。これによって全てが繋がった感がある。
デルンの実用化以後よく思うことだが,デルン/デライトが無ければ今頃自分の脳はどうなっていたか分からないな,と今日は改めて思った。
私にとってのデライトは,もはや知能増幅装置というより生命維持装置に近いかもしれない。
これだけ書いた後で一日一文を書くのは流石に辛いので,今日は「デライト高速化前の現状整理」を一日一文代わりとしておいた。