知名欄・描写欄の捕活に関する仕様検討の結果,ともに「マウスオーバーで捕活する」仕様を確定・実装した。出振るい・手定め済み。
仕様というほど明確なものではなく,時期によって実装上機能しないこともあったものの,デライト初期実装からのマウスオーバー時の挙動は,知名欄では捕活・全選択,描写欄では捕活,という方針だった。これは,実用上の都合というのも大きく,こうでなければ単純に描出効率が悪かった。
昨年9月までの第二次用合い改良中の交度整理で,知名欄の捕活・全選択は機能しなくなっていた。これは確か,中景輪符の事象を改良したことで干渉の懸念があり,再実装を後回しにしたという経緯だった気がする。もっと地味な描写欄の捕活は過去に何度か再実装した記憶があるものの,どの時点で機能しなくなっていたのかは曖昧だが,いずれにせよ,第二次用合い改良後はどちらもマウスオーバーでの捕活すら機能しなくなっていた。
もしかしたら,これはこれで今のデライトでは悪くないのかもしれないと少し様子を見ていたが,輪郭整備のように描出効率が重要な作業になると,クリックでの捕活はやはりまどろっこしく,鈍重に感じる。そこで最近はかつての挙動を復活させる機会を窺っていた。
懸念は,他要素・他機能との干渉や誤操作だったが,これは昨日の検討から急速に氷解した。今のデライトで,マウスオーバーで捕活が移動すること自体は前提のようなところがあるので用者体験に大きな悪影響はないだろうということ,むしろほとんどの要素がマウスオーバーに反応するのに知名欄・描写欄が無反応なことが直感性を損ねているとも言えること,スクロールとの干渉も実際の舞覧では生じないこと,誤編集の問題については,そもそも閲覧・編集用合いを切り分けていることが一定の保護機能になっており,更に取り消しボタンで変更有無が分かるようになることで大きく軽減されること,などの理由で,大きな問題はないという結論に達した。
そこでまず,知名欄の全選択も含めてマウスオーバーでの捕活機能を復活させてみた。ところが,知名欄の全選択については数十分で廃止を決定することになった。実装上の問題としては,選択状態がやはり周辺要素と干渉する。干渉しないようにマウスアウトで解除すると,今度は選択状態が意図せず解除されやすくなる。もっと問題なのは,誤入力で上書きしてしまいやすいということだった。全知検索窓では再検索のためにも上書きしやすい全選択状態が好都合だが,知名欄での利点は写し取りが素早く行えることくらいでさほど大きくない。
これは,今のデライトで,慣れ切ったこの挙動からいったん離れなければ気付かなかったことかもしれない。今のデライト市場戦略から考えても,熟練用者向け過ぎて採用出来ない。
次に,知名欄の全選択機能を外し,捕活だけにしてみると,これはむしろ想像以上に好感触だった。地味ながら,編集の軽快感は明らかに向上している。捕活さえしてくれれば Ctrl + A で写し取りも十分効率的に行える。今のデライトとの相性でいえば理想形とすら思えた。ここで正式な仕様として確定することにした。なお,捕活時に発生するスクロールは意図しない場合が多く考えられるため抑止する。
どこまで普遍的な現象か分からないが,常用している Linux の Firefox では,<textarea>
の選択状態を残して捕活解除すると,再選択のつもりが(未捕活状態のせいで)意図しない文字列ドラッグが発生しやすいため,これがなくなったのは個人的に嬉しかった。近頃多用している複数輪符の引き入れ欄への写し貼りで障害になっていた。
とにかく,第二次用合い改良後に残っていたもやもやしたものを払拭出来たのは大きかった。