先日「希哲館」の由来について書いたので,命名に関する思い出話ついでに,今度は「デルン」(deln)の由来について書いてみよう。
デライトで採用している CMS としてしばしば言及するこのデルンだが,「ブログ」や「ウィキ」に相当するものだと思ってもらうのが一番分かりやすいだろう。例えば,Wikipedia がウィキを利用していたり,アメーバブログがブログを利用しているように,デライトはデルンを利用しているわけだ。
これだけで,デライトの独自性が常軌を逸していることはお分かりだと思う。長年インターネットで広く使われてきたブログでもなくウィキでもなく,全く新しい CMS の形態から考案し,サービス化したのがデライトだ。ちなみに,「デライト」(Delite)の由来は「ライト(簡易)版デルン」(Deln Lite)だ。
そのデルンの名は,基礎理論である「輪郭法」に由来している。輪郭法は英語でデリノグラフィー(delinography)という。デリノグラフィーはデリニエーション(delineation)という英単語に由来している。輪郭を描くこと,描写,などを意味する言葉だ。こう辿っていくとややこしい話だが,それだけ長い文脈があるということだ。
さて,デリノグラフィーを縮めたのがデルンだが,この名前を考えたのは希哲6(2012)年頃で,デルンの実用化直前だったのでさほど詳しい記録も残っていない。
ただ,当時はブログやウィキの代替を強く意識し,名前もそれらの特徴を踏まえようとしていたことはよく覚えている。つまり,ラテン文字で4文字,カタカナで3文字,一見不思議な呪文のような響きだが,由来はちゃんと説明出来るという名前だ。ブログ(blog),ウィキ(wiki),デルン(deln)と並べてみれば分かりやすい。
特にデルンという言葉の何とも言えない響きには,命名から9年ほど経った今でもまだ慣れない。何度口にしてもすっきりしない。もっと良い名前があるんじゃないかと,何度思ったか分からない。
ただ,この微妙な語感こそ記憶に残りやすい言葉の特徴で,ブログやウィキが普及した理由も実はここにあるのではないかと思っている。何かよく分からない言葉を最近よく聞くなと思えば,それについて知ってみたくなるのが人の性だ。
一方で,「デライト」はごく簡単に,すっきり飲み込みやすい名前にすることを意識した。よく使われるカタカナ英語なので,それ自体に印迫は無い。この対照的な「デルン」と「デライト」を上手く使い分けて市場活動に活かしたいところだ。