開発では大きな脳爆発がありつつも,早寝早起きして高進捗,心身の調子も絶好調が続いている。
相変わらず散歩や陶練は休みがちだが,いま一番重要なのは新生デライト開発の進捗なので悪いとも言えない。夜は開発に熱中して早寝という形で終わることが多いため,とりあえず短い朝の散歩を再開することにした。
第四次宣伝攻勢開始前日なので,輪郭選り手抜控機能整備くらいは終わらせてしまいたかったが,事務的な用事もあり時間的に中途半端だったため,久しぶりの一日一文を書きながら宣伝攻勢の方針についてまとめた。
文章に書いたように,第四次宣伝攻勢は「新生デライト開発実況」という趣向で行くことにした。
従来通り,朝昼晩1時間ずつを目安とした宣伝に加えて,一日一文を再開することにした。これまでの一日一文は“未来人”の読者を想定したかなり長期的な視野で書いていたため,短期的な成果を求めている時にはどうしても後回しになり,継続出来なかった。そこで,ここからはいったん一般読者を意識した書き方に改め,希哲館訳語などは様子を見ながら漸進的に導入していくことにした。デライト宣伝を兼ねられるものなら継続出来るだろう。
また,一日一文にはあえて時間制限を設けないことにした。何についてどれだけ書くべきかは状況次第だ。この日も,最初は1時間程度で書こうと思っていたものの,久しぶりに深夜まで熱中して長文を書いてしまった。ただ,大きな意義も感じられ,後悔はなかった。
デライトは,黄金週間初日となる明日29日,4度目の宣伝攻勢(第四次宣伝攻勢)を始める。これを機に,中断していた「一日一文」の日課も再開することにした。
デライトはいま,包括的な改良構想によって「新生デライト」に生まれ変わろうとしている。今回の宣伝攻勢のコンセプトは“新生デライト開発実況”だ。この一日一文も含めて,開発状況や開発者の考えなどについて積極的に発信していきたい。
3度の宣伝攻勢から得た教訓は色々とあるが,4度目の宣伝攻勢を目前にしてつくづく感じていることは,結局,やってみなければ分からない,ということだ。
ソフトウェア開発をやっていると,ここが悪い,あそこが分かりにくいなどといったことばかり考えてしまいがちだ。とりわけデライトは新奇に見える代物なので,開発者も利用者も,“デライトの問題点”について考え込み過ぎる嫌いがある。
問題点を地道に改善していくのは当たり前のことだが,問題点ばかり見ていると,「問題があることが問題」であるかのような錯覚に陥りがちだ。問題のないソフトウェアなど存在しないので,これは「木を見て森を見ず」の罠でもある。広く使われている全てのソフトウェアは,それぞれに問題を抱えながら,それぞれの役割を果たしている。その全体像を見ずに問題の大きさを正しく見ることは出来ない。
そもそも,使いやすい UI,分かりやすい文書……などと全てを兼ね備えた優等生的なソフトウェアが世の中にどれだけあるだろうか。使いにくかろうが分かりにくかろうが,バグだらけであろうが,“使う必要”があれば使われる。それが現実だ。ツールも文書も,必要ならユーザーが作り始める。昔からそうやってソフトウェアは共有されてきた。
そこに革新性があればなおのことだ。誰でも戸惑いなく使える革新的なソフトウェア──そんなものは夢の中にしか存在しない。デライトがそうであれば,私はとっくに世界一の有名人にして世界一の大富豪になっている。冷静に考えれば馬鹿馬鹿しい話だが,知らず知らずのうちにそれに等しいことを考えてしまうのが認知バイアスの怖さだ。
デライトを普及させる上で最大の課題,換言すれば,最も手っ取り早い道筋は何かといえば,デライトが目指していることを理解してもらい,共感してもらい,必要としてもらうことに他ならない。またこういう文章を書き始めた理由だ。
デライトは,よくあるメモサービスに出来るだけ近付けた知能増幅(IA)サービス,名付けて「知能増幅メモサービス」だ。一時期,「最も使いやすいメモサービスを目指す最も使いやすい知能増幅サービス」と表現していたこともあるが,研究室臭いものになりがちなこの種のソフトウェアとしてはすでに驚くほど簡易的で,その点の達成度は決して低くないはずだ。
とはいえ,全く新しい領域を目指している以上,新しいやり方を理解して慣れてもらうしかない部分はどう頑張っても残る。デライト初心者が戸惑いがちなところは,デライトの目的のためにあえてそうしていることが多い。多くの人にとっての分かりやすさだけを基準にして最終的に出来るのは,微妙に使いにくい,よくあるメモサービスだ。レーシングカーの難しさだけを問題視してオモチャの車にするわけにはいかない。
2年ほど前に公開してから,デライトにはそれなりに多くの人が来てくれた。例に漏れず,大半の人は黙って去り,一部の人はサービスの問題点を指摘して去っていった。私が開発者として一番痛切に感じていたことは,そうした問題点を大きく感じさせるほどの利用動機の小ささだった。「ここが使いにくい」などと言い残して去っていった人達が本当に言いたかったことは,「それでもと使うほどの意義を見出せなかった」ということなのだと思う。
事実,デライトの使いにくさや分かりにくさを改善して利用者が増えた試しがない。いま日常的に利用してくれているのは,あらゆる面でいまとは比べ物にならないほどデライトが貧弱だった時期に,どこかで私がデライトについて語っているのを見て,その可能性に興味を抱いてくれた人達だ。
デライトの意義を理解した人にとってデライトの問題は決して大きくない。開発者として,そう確信出来る地点にようやく来られた気がしている。あとは伝え方の問題なのだろう。
もう一つ,商売において陥いりがちな罠に,「生存者バイアス」としてよく知られた認知バイアスがある。成功例の背後にある屍の山に,人は気付きにくい。そして,成功や失敗の要因として語られることは,結果論でしかないことが多い。デライトが成功するもしないも,結局は「運」によるところが大きい,ということだ。
例えば,売れっ子の芸能人がみんな親しみやすく万人受けするタイプかといえば,全くそんなことはない。癖が強く,とっつきにくそうな人も多い。彼らは売れたから「それが良い」と言ってもらえるけれども,同じ特徴を持っていても売れずに「だから駄目なんだ」と言われている人がごまんといる。万人受けしそうなタイプならタイプで,売れなければ「無個性でつまらない」などと言われる。その差は,巡り合わせとしか言いようがない。
勝てば官軍ではないが,デライトの“とっつきにくさ”とされていることも,何かのきっかけで話題になってしまえば“面白さ”になりうる。その程度のことでしかないのかもしれない。
「結局は運」というのは投げ遣りなようでいて,実は非常に前向きな覚悟が必要な考え方でもある。粘り強く試行を繰り返していくこと以上に成功を確かなものにする道はない,ということだからだ。奇跡のような偶然も,サイコロを振り直し続ければ必然に近付いていく。
そしてこのデライト自体,すでにソフトウェア開発における奇跡的な生存例だ。ソフトウェア開発の世界では,デライトよりずっと低い目標を掲げていても,成功どころか動く物すら出来ずに頓挫していくプロジェクトがごまんとある。その中にあって,これだけの大風呂敷を広げ,この品質で実装・運用され,少ないながらも利用者がいて,ちょっとした収益化まで出来ている。こんなサービスは世界を見渡しても他にない。
そんな奇跡がなぜ起きているのか。それはやはり,「粘り続けたから」としか科学的な説明のしようがない。デライト自体は公開から2年を越えたばかりのサービスだが,研究期間を含めると20年近い歴史がある。その全てが無駄なくデライトに結実している。
運を味方に付け,デライトの成功という奇跡を起こすために,ひたすら粘り続ける。これを新生デライトの完成に向けた宣伝攻勢の所信表明としたい。
12日の脳爆発を引きずってまだ脳疲労感が残っていた。一ヶ月分にも相当するであろう収穫だったのだから仕方ないと,気分転換も兼ねて,半年ほど放置していた Aejs 整備を再開してみることにした。
まずは交度の見直しと軽く違了修正程度出来ればいいと始めたものの,驚くべきことに,作業の続きがよく捗った。これだけ間があくと,作業方針を思い出すのと再整理に時間がかかるのではないかと思っていたが,むしろ中断前より捗った気がする。この半年間での環境整備や設計方針の洗練,知見の蓄積がそれだけ大きかったのだろう。当時は,ゆとりがなく混沌とした状況でもあった。
金風で中断してからなかなか再開出来ず,中途半端な状態で出振るいも出来ず,前縁周りの作業が非常に進めにくい状況ではあったが,この間の収穫を考えれば仕方ないと思っていた。設計面・仕様面での変化も小さくなかったので,再修正の手間も省けた。唯一の懸念だった作業再開にかかる負担が全くと言っていいほど無かったのだから,仕方ないどころか大正解だったと言うべきだろう。
Aejs 整備の中断経緯について記録を振り返っている内に,もう一つの放置課題だった KNEST 隠し実装についても再整理が急速に進んだ。
輪郭選り手抜控機能整備がなかなか進まなかったことで Aejs 整備に入ったのが昨年9月9日だった。14日11歩を最後にそれも止まり,代わりに HTML 隠し実装からの KNEST 隠し実装に重点を移すことにした。頭の整理をしているうちに18日になり,金風が起きた。以後は何度か再開を試みているが継続出来ず,そのまま第二次快調期に突入した。
金風があまりに大きい出来事だったので,このあたりで記憶が分断されている感覚がずっとあった。特に Aejs 整備と KNEST 隠し実装は,第二次快調期でも置き去りになっていた部分で心残りだった。第四次宣伝攻勢に向けて新生デライト開発も佳境というところで二つの強力な武器を上手く取り戻せた。言うまでもなく,極めて大きな収穫だ。
今日は疲労回復のため休みにしたが,次回の陶練からランニングを再開することにした。
これも第二次快調期からほとんど出来なくなっていた。忙しさもあったが,生活習慣の乱れに寒さが重なり,1月には風邪を引いたりもしていたため,大事を取っていた。最近は,少しずつ生活習慣改善も再開出来,暖かくなってきたので大丈夫だろう。
最近の生活習慣改善を「第四次生活習慣改善」とするかと考えたところで,すでに金風以後の生活習慣改善を指して使っていたことを思い出した。用語として考えた12月9日から間もなく第二次快調期に入ったので,目まぐるしさで忘れていたのだろう。とりあえず「第四次生活習慣改善の再開」としておくことにした。