昼過ぎから20時頃までほとんど姪達の世話で,昨日分のまとめくらいしか出来なかった。
姪達の世話は肉体的に疲れるが,精神的には良い。大義名分はさておき,希哲館事業を頑張らなければならない個人的な理由を考える時,真っ先に思い浮かぶのはいつも姪達の顔だ。事業を成功させて,あの子達にとっても希望に満ちた世界を創れれば最高だが,最悪でもあの子達に悪影響は与えたくない。
あの悪夢から初めて姪達の顔を見て,ようやくその意味が分かった。
人工知能,仮想通貨・暗号通貨,仮想現実・仮想世界……等々,様々な分野が世界的な注目を集める中,これらを凌ぐ潜在力があるにもかかわらず,まともに語っているのは私だけなのではないか,と思えてしまう分野がある。それが「知能増幅」(IA: intelligence amplification)だ。
知能増幅というのは,文字通り,工学的に人間の知能を増幅させることを指す。古くからある研究分野だが,人工知能などに比べてその話題性は著しく乏しい(参考)。この言葉に「人体改造」に近い響きを感じる人は多いだろう。実際,脳にチップを埋め込む,遺伝子を書き換えるといった人体改造的な研究がこれまでの主流で,まず倫理的課題が大きかった。倫理的課題が大きければ技術的課題を解消するための実験などもしにくく,実用段階にある技術が存在しなかった。デライトが登場するまでは,古典的な SF の域を出ず,語れることも大して無かったわけだ。
先日の「デライトの使い方の考え方」で少し触れたように,デライトは,その知能増幅を誰でも簡単に触れるメモサービスとして実現した「知能増幅メモサービス」であり,「世界初の実用的な知能増幅技術」だ。どのように実現しているかはあの文章でざっと書いたので,今回は,この知能増幅メモサービスの意義について書いてみようと思う。
私は,ビッグ・テックや GAFAM などと呼ばれる世界最大の企業群(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)が合併して「Microappglezonbook」となり,自分がその経営を思うままに出来たらどうするか,という思考実験をすることがある。答えはいつも変わらない。iPhone も Google 検索も Windows も,世界最大の SNS も世界最大の通販サイトも,何もかも売り払って,知能増幅メモサービスの開発に全てをかける。
最近何かと話題のイーロン・マスク氏と入れ替わったとしても,やることは同じだ。テスラも SpaceX も Twitter も,何もかも売り払って知能増幅メモサービスの開発に全てをかける。ちなみに,氏の事業の一つには,まさに脳にチップを埋め込む系の知能増幅技術を扱う「ニューラリンク」があるものの,やはり,他の事業ほど目立った成果もなく,あまり知られていない。
つまるところ,あらゆる分野の中で,「知能増幅」が群を抜いて大きな可能性を持っていると私は考えている。これを多くの人が理解すれば,21世紀は間違いなく「知能増幅の世紀」になるだろう。世界初の実用的な知能増幅技術であるデライトは,その嚆矢だ。
長い前置きに似合わず,知能増幅メモサービスがなぜいま最も重要なのかという本題は,拍子抜けするほど単純明快な話だ。知識が最も価値を持つ時代において,最も価値のある知識は「知識を生み出す知識」であり,最も価値のある技術は「知識を生み出す技術」だからだ。まさにそれを研究開発するのが知能増幅という分野だ。そして,知能増幅メモサービスは,最も実現性の高い,実際にデライトが実現している知能増幅技術なのだ。
例えば,人工知能がいかに発達しようと,それを開発し管理し利用していくのはあくまでも人間だ。人間が愚かなまま機械だけが賢くなっても,人間社会にとってのボトルネックは必ず人間の愚かさになる。知能増幅技術は,人間のあらゆる知的活動を最も根源的な部分から持ち上げる技術であると言える。
……と,この単純明快な話を私がしたのは,昨日今日でもなければ一度や二度でもない。昔から,何度端的に語っても,意図するところが伝わった試しがない。どうもピンと来ていないというのか,大体の反応が「なるほど,で?」という感じだ。理屈はなんとなく理解出来ても,それが意味することの大きさを想像出来ていないのだ。その大きさを先に書いた理由だ。
思えば,この“ピンと来ていない感じ”というのは,「個人知識管理」(PKM: personal knowledge management)として認知されつつある分野に感じるものと似たところがある。その名の通り,個人が自らの知識を効果的に管理することに関してはすでに色々な方法論や技術が集められている。その代表的な手段として「メモ」があり,メモアプリやメモサービスなどと呼ばれるものも盛んに研究・開発されている。
このメモサービスを知能増幅に結び付けたのが「知能増幅メモサービス」というデライトの位置付けだが,これが,私が思っていたより変わった発想だったらしい,とデライトの宣伝を始めてから気付いた。個人知識管理の技術を発展させていけば,それは当然知能増幅に繋がる。この単純な発想が,意外にも共有しにくい。「デライトではこんな新しいことが出来る」と言っても,「なるほど,でも○○で間に合ってるから」という反応を受けることが多かった。そこには,想像していたよりずっと大きな温度差があった。
このあたりの分野をよくよく観察してみると,開発者にせよ愛好家にせよ,そこまで大きなビジョンを持っている人はほとんどいないことが分かる。要は,「生活術」とか「仕事術」とか「ライフハック」の範疇でしかとらえていない。個人知識管理が知能増幅に繋がり,それが世界を変える,なんて大それたことを考えている人間は,全くいないわけではないだろうが異端者だ。
私の立場からは「節穴同然の眼力」としか言えない分野の体たらくだ。「趣味の問題」で済む話でもない。そう思ったとしたら,ここまでの話が理解出来ていないか,想像力があまりにも足りない。ただただ,一人でも多くの人がこの分野の本当の可能性に気付いてくれることを願って,私は叫び続けている。
まだ若干脳疲労感が残っていたため引き続き半休にした。明日は姪達を預かることになっているので,明日まで半休にして生活律動調整をすることにした。思えばこの上旬だけでも色々なことがあった。「平常心」という言葉を最近よく意識しているが,それくらい冷静でいることが難しい状況だ。
現状,新生デライト開発に迷いは無いし,デライト宣伝の効果にも十分期待出来る。あとは生活律動と適切な時間配分,高進捗を維持出来るかどうかだ。いつものことながら,こういう状況に弱い。一寸先は闇という状況では平然としていられるのに,見通しが良く,あとは地道に努力するだけ,となると急に気持ちがぐらついてくる。それはここまでやって来られた理由でもある。
日々やるべきことをやるだけ。それだけで,2,3ヶ月以内のデライトの完全な成功が視野に入る。それは,世界初の実用的な知能増幅技術の商業的成功であり,とりもなおさず世界史上最大の成功だ。極端過ぎるが,その極端さを狙ったのが希哲館事業発足以来の一夜革命構想なのだ。そんなことを考え出すと,希哲館事業の歴史や自分の人生の歴史までしみじみ振り返ってしまう。
本心では,気楽な生活との別れを望んでいるような望んでいないような,なんとも言えない気分。それに子供の頃から苦手な既定路線。決して得意な状況ではない。ただ,もっと若い頃と違って今は強い義務感がある。やりたいかどうかではなく,やるべきかどうかで考えられる。頑張るしかない。
……色々なことを考えていたら結局夜更かししてしまった。明日はこれを利用して早く寝ることにした。
デライトは,黄金週間初日となる明日29日,4度目の宣伝攻勢(第四次宣伝攻勢)を始める。これを機に,中断していた「一日一文」の日課も再開することにした。
デライトはいま,包括的な改良構想によって「新生デライト」に生まれ変わろうとしている。今回の宣伝攻勢のコンセプトは“新生デライト開発実況”だ。この一日一文も含めて,開発状況や開発者の考えなどについて積極的に発信していきたい。
3度の宣伝攻勢から得た教訓は色々とあるが,4度目の宣伝攻勢を目前にしてつくづく感じていることは,結局,やってみなければ分からない,ということだ。
ソフトウェア開発をやっていると,ここが悪い,あそこが分かりにくいなどといったことばかり考えてしまいがちだ。とりわけデライトは新奇に見える代物なので,開発者も利用者も,“デライトの問題点”について考え込み過ぎる嫌いがある。
問題点を地道に改善していくのは当たり前のことだが,問題点ばかり見ていると,「問題があることが問題」であるかのような錯覚に陥りがちだ。問題のないソフトウェアなど存在しないので,これは「木を見て森を見ず」の罠でもある。広く使われている全てのソフトウェアは,それぞれに問題を抱えながら,それぞれの役割を果たしている。その全体像を見ずに問題の大きさを正しく見ることは出来ない。
そもそも,使いやすい UI,分かりやすい文書……などと全てを兼ね備えた優等生的なソフトウェアが世の中にどれだけあるだろうか。使いにくかろうが分かりにくかろうが,バグだらけであろうが,“使う必要”があれば使われる。それが現実だ。ツールも文書も,必要ならユーザーが作り始める。昔からそうやってソフトウェアは共有されてきた。
そこに革新性があればなおのことだ。誰でも戸惑いなく使える革新的なソフトウェア──そんなものは夢の中にしか存在しない。デライトがそうであれば,私はとっくに世界一の有名人にして世界一の大富豪になっている。冷静に考えれば馬鹿馬鹿しい話だが,知らず知らずのうちにそれに等しいことを考えてしまうのが認知バイアスの怖さだ。
デライトを普及させる上で最大の課題,換言すれば,最も手っ取り早い道筋は何かといえば,デライトが目指していることを理解してもらい,共感してもらい,必要としてもらうことに他ならない。またこういう文章を書き始めた理由だ。
デライトは,よくあるメモサービスに出来るだけ近付けた知能増幅(IA)サービス,名付けて「知能増幅メモサービス」だ。一時期,「最も使いやすいメモサービスを目指す最も使いやすい知能増幅サービス」と表現していたこともあるが,研究室臭いものになりがちなこの種のソフトウェアとしてはすでに驚くほど簡易的で,その点の達成度は決して低くないはずだ。
とはいえ,全く新しい領域を目指している以上,新しいやり方を理解して慣れてもらうしかない部分はどう頑張っても残る。デライト初心者が戸惑いがちなところは,デライトの目的のためにあえてそうしていることが多い。多くの人にとっての分かりやすさだけを基準にして最終的に出来るのは,微妙に使いにくい,よくあるメモサービスだ。レーシングカーの難しさだけを問題視してオモチャの車にするわけにはいかない。
2年ほど前に公開してから,デライトにはそれなりに多くの人が来てくれた。例に漏れず,大半の人は黙って去り,一部の人はサービスの問題点を指摘して去っていった。私が開発者として一番痛切に感じていたことは,そうした問題点を大きく感じさせるほどの利用動機の小ささだった。「ここが使いにくい」などと言い残して去っていった人達が本当に言いたかったことは,「それでもと使うほどの意義を見出せなかった」ということなのだと思う。
事実,デライトの使いにくさや分かりにくさを改善して利用者が増えた試しがない。いま日常的に利用してくれているのは,あらゆる面でいまとは比べ物にならないほどデライトが貧弱だった時期に,どこかで私がデライトについて語っているのを見て,その可能性に興味を抱いてくれた人達だ。
デライトの意義を理解した人にとってデライトの問題は決して大きくない。開発者として,そう確信出来る地点にようやく来られた気がしている。あとは伝え方の問題なのだろう。
もう一つ,商売において陥いりがちな罠に,「生存者バイアス」としてよく知られた認知バイアスがある。成功例の背後にある屍の山に,人は気付きにくい。そして,成功や失敗の要因として語られることは,結果論でしかないことが多い。デライトが成功するもしないも,結局は「運」によるところが大きい,ということだ。
例えば,売れっ子の芸能人がみんな親しみやすく万人受けするタイプかといえば,全くそんなことはない。癖が強く,とっつきにくそうな人も多い。彼らは売れたから「それが良い」と言ってもらえるけれども,同じ特徴を持っていても売れずに「だから駄目なんだ」と言われている人がごまんといる。万人受けしそうなタイプならタイプで,売れなければ「無個性でつまらない」などと言われる。その差は,巡り合わせとしか言いようがない。
勝てば官軍ではないが,デライトの“とっつきにくさ”とされていることも,何かのきっかけで話題になってしまえば“面白さ”になりうる。その程度のことでしかないのかもしれない。
「結局は運」というのは投げ遣りなようでいて,実は非常に前向きな覚悟が必要な考え方でもある。粘り強く試行を繰り返していくこと以上に成功を確かなものにする道はない,ということだからだ。奇跡のような偶然も,サイコロを振り直し続ければ必然に近付いていく。
そしてこのデライト自体,すでにソフトウェア開発における奇跡的な生存例だ。ソフトウェア開発の世界では,デライトよりずっと低い目標を掲げていても,成功どころか動く物すら出来ずに頓挫していくプロジェクトがごまんとある。その中にあって,これだけの大風呂敷を広げ,この品質で実装・運用され,少ないながらも利用者がいて,ちょっとした収益化まで出来ている。こんなサービスは世界を見渡しても他にない。
そんな奇跡がなぜ起きているのか。それはやはり,「粘り続けたから」としか科学的な説明のしようがない。デライト自体は公開から2年を越えたばかりのサービスだが,研究期間を含めると20年近い歴史がある。その全てが無駄なくデライトに結実している。
運を味方に付け,デライトの成功という奇跡を起こすために,ひたすら粘り続ける。これを新生デライトの完成に向けた宣伝攻勢の所信表明としたい。
2月23日頃から検索結果の改良について本格的に考え始めていたが,「検索属性」を導入し,検索結果の多段化を進めていくことにした。
現状,例えば括弧類を自動付加した検索は出来るが,その逆は出来ない。括弧付きで描出したい場合,括弧無しで検索して既存輪郭が無いことを確認した後,括弧を付けて再検索するということが多く,とりあえずこの手間を無くしたかった。全知検索演算子の制御に任意の括弧類を使えると好都合ということもあった。
文字数の昇順で揃えてそれなりの結果になっているのでこれを降順にすればいいかと思ったが,上手く行かない場面が多々あるので一時凌ぎの域を出ない。
将来的な拡張性も考えると検索結果の多段化が好ましい。風船輪郭や輪括内検索にも応用出来る。希哲14年7月30日8歩から輪括内検索は輪括内のみにすると使いにくいという理由で中途半端な状態になっていたが,優先表示で解決出来ることに気付いた。
整数値に揃えを兼ねた役割を与え,これを「検索属性」として利用出来るようにする。
ここまでは良いが,効率的な実装が難しい。単純に全ての検索パターンを UNION
で結合すればひどいことになるのは目に見えている。外充て函数で余計な検索を省くようにする,挿入・更新時に確定出来る情報はフラグ化しておくといったことに加えて,後縁での出力は最低限にして前縁で追加取得するといった工夫が必要になるかもしれない。
いずれにせよ後縁の対応は進めて問題ないだろう。設計方針さえ固まれば最適化はどうとでもなる。