「アクセルとブレーキを同時に押している」……これは非常に鋭くデライトの複雑な現状を捉えた表現だと思います。
また長い話になりますが,デライトは「安定拡大戦略」を取っています。つまり,堅調に拡大しつつ過熱は抑えたい,ということです。
デライトの母体である希哲館(希哲社)は,その名の通り,知を希求する万人の擁護者・支援者となることを使命として,いかなる権力者・権威者にも,資本家にも,大衆にさえも従わない経営体制の構築に腐心してきました。
権力者が言うから,出資者が言うから,みんなが言うから,黒いものでも白と言わなければならない体制ではこの使命は果せません。希哲社は,「希哲」の理念のみに従う企業である必要があります。
デライトもこの経営原則による制約を受けています。この手のサービスによくある,投資家に支えられて巨額の赤字を乗り切るとか,あるいはウィキメディア財団のように寄付に頼るといったことも出来ません。あくまでも「自活」です。
要するに,爆発的にユーザーを集めることはデライトにとって現実的なことでもなければ必要なことでもない,ということです。
収益や,最適化・チューニングといった開発進捗と歩調を合わせながら拡大を続けていくというのが理想であり,現実的に考えて唯一の生存戦略なのです。
ここでいうアクセルは,先日説明した「黄金循環」です。そしてブレーキが「難解さ」です。
今だから言えることですが,昨年,N10K 問題でデライトが少しバズった時,私が心配していたのは内容云々よりもデライトへの「負荷」でした。同時に捌けるアクセスは高が知れています。そこでどうしたかというと,それまで隠していたデライトの難解な話をひたすら書き綴ったわけです。思惑通り,騒動は早々に沈静化しました。
もちろん,わざと話を難しくすることはありませんが,それまで難解さを気にして出せなかった部分をある種の重石・篩として利用しながら出す,これは一石二鳥の宣伝手法でした。
このあたりの所感は22日の日記にも書いていますが,今はこういうバランス感覚が重要な時期だと感じています。
「デライトの雰囲気について」に続きます。