{熱伝導度}{幔土}{光学}{地球}(4)

{あれ K#D657/0FB2}

マントルの光学として有名なトピックには、放射熱伝導度があります。

マントルの中の熱輸送には、対流と伝導のふたつのプロセスがあります。後者の熱伝導に関しては、原子の振動(格子振動)が伝搬することによって熱を伝わる「格子熱伝導」と電磁波(ようするに光)の輻射によって伝わる「放射熱伝導」があります。実際のマントルの熱伝導度は、これら二つの合計になるわけです。

放射熱伝導度には有名な論文が二つあります。ひとつが Goncharov et al. (2008 Nature) で、この論文は放射熱伝導度がほぼゼロ(0.5 W/m/K)、つまりマントルは不透明であると主張しています。

Goncharov et al. (2008)
Radiative conductivity in the Earth's lower mantle

もうひとつが Keppler et al. (2008 Science) で、こちらはマントルは透明で放射熱伝導度が 10 W/m/K ぐらいだと言っています。

Keppler et al. (2008 Science)
Optical Absorption and Radiative Thermal Conductivity of Silicate Perovskite to 125 Gigapascals

格子熱伝導度は(こちらも諸説あるのですが)、およそ 10 W/m/K ぐらいであろうという感じなので、放射熱伝導度の値として Goncharov と Keppler のどちらを採用するかで、トータルの熱伝導度が2倍違って来ます(合計で 10 W/m/K なのか 20 W/m/K なのか)。

熱伝導度が2倍変わってしまうと、単純に物が冷える速度が2倍変わってしまうので大問題です。

{}{地球の構造}{幔土}{地震}(4)

{予備的基準地球模型 K#D657/39E8}

現在の地球の垂直方向の内部構造を言うときは大抵これだとのこと(近藤談)

地震波(実体波)の走時のほかに、深部の構造を求めるのに自由振動(長周期現象)も用いている。

地球内部に明確な不連続面があること
中心から二番目の層は弾性波の速度のみが0であることから剪断係数のない液相である
途中の一様上昇から下部幔土においては均質な断熱圧縮が起きていること(ここから温度が推定できる)

などさまざまなことがわかる。

その後IASP91やAK135によって細部が修正され
精度が向上した。

接触元

2021/11/18
近藤 忠「地球科学概論」
観測で見る地球その3 地震波で見る地球の構造と性質Part 3
PREMモデル 👈これ重言。

(1){PREM81}
{}{幔土}{地球}{重力}(4)
{}{幔土}{金剛石}{圧力}{励射}(5)

{高圧発生装置 K#D657/4B3E}

大きくわけて2つ

金剛製金床容器 (diamond anvil cell)
底面尖を台形状に削った,宝石用金剛石を使う。
なぜ?→
→金剛石は割れる場合があるので,良い品質の金剛石を用いる。
ねじ,あるいは油圧によって押し付ける〝程度〟の力で,面積を小さくすることで巨大な圧力を発生できる。
利点: 金剛石は電磁波を透過するので光学顕微鏡やX線などによる光学的測定ができる。
最高到達圧力はMAPに比べて高く,400万気圧>地球中心における圧力(360万気圧)
※ただし,この圧力になってくると「圧力を測る方法」がないので,ある意味〝言ったもの勝ち〟状態。
※圧縮挙動がよく分かっている標準物質(Au, NaCL MgO)の結合距離をX線回折法を使って測って表層的に推測する他なし。

なお,金剛石を通して赤外線励射を当てることで高温状態を達成できる。
費用: 装置が30万円,消耗品として金剛石10万×2

複金床押圧機 (multi anvil press)
4m, 10tほど。巨大。
(SPEED-1500は)1500kg重を発生させることで巨大な圧力を発生できる。
観測はX線による屈折・散乱・撮像
利点→比較的大きな面積・体積に対し,かつ安定した温度を実現できる。
よって下部漫土における物質の「複雑な振舞」(対流・弾性)を再現できる。
費用: 1億円

接触元: 地球惑星物質学

{幔土}{漫套}{翻訳語}(3)

{あれ K#D657/1F94}

ていうか「漫土」を書いてる時に見付けたけど,「漫套」って良いな。
私の日常生活では,漫套に言及する機会がそもそも少ないけれど,今度是非使ってみよう。

{幔土}

{}