政治は、考えても分からない、面倒な議論になる、と考えなくても語らなくてもいい方へ逃げてしまいがちです。知の限界に挑戦しようというデライトのようなサービスはその知性の敗北に甘んじていられません。不透明性を払拭する為にも「語り切る」に越したことはなく、デライトにはそれが可能でした。

政治について全く語らないということは、社会のあり方について考えたことがないか、考えを隠したい理由があるかです。その時点で少なくとも、知性・誠実さ・勇気のどれかは欠けていることになります。人の頭脳を預ろうという個人知識管理サービスの開発者・運営者として信頼に足る姿勢ではありません。

日本人は特に政治家以外が政治について表明することを毛嫌いしますが、根本的な部分での未熟さに大差はありません。ネットサービスが社会・政治についての考えを表明することは信頼性・透明性の観点から不可欠になってきます。各社「逃げられない」問題になった時、何を考えているかが重要になります。

「社会的限界」に直面するのは何も個人知識管理サービスだけではありません。GAFA と政治の対立、先の米大統領選を巡る SNS 各社への不信感……ほとんどの IT 企業はその影響力をどう社会と調和させるかについて、ろくに考えていません。これは業界全体の未熟さだと思います。