最後に,ご指摘の「思想臭さ」や「難解さ」についてですが,これも造語と同じで,今となっては必要悪に近いなという感覚です。
昨年半ばに知って頂いたということでお気付きか分かりませんが,デライトは当初,出来るだけ無難な宣伝を心がけていました。ちょっと風変りな気軽に使えるメモサービスに必死に見せかけようとしていたのです。結果として表面的な反応は悪くなかったのですが,ユーザーの定着には全くつながりませんでした。
こういう経験から,少しずつデライトは難解さも含めてありのままを重視する戦略にシフトしていきます。見せかけの分かりやすさで気を引くより,時間がかかっても理解あるユーザーを増やしていくことの方が長い目でみれば得策だろうという考えです。
そもそも,思想臭や政治臭を感じさせないサービスって,波風を立てていないから気付かないだけで,よ〜く考えると気持ち悪いものだなと思います。世界や社会について何も考えていないか,都合が悪くて隠しているということですから,突き詰めれば信頼性・透明性に関わる問題に他なりません。
GAFA 等が社会的責任を厳しく問われる立場になってはじめてそれが露呈したと思います。便利な技術を作ったらそれがどんどん社会的影響力を持ってしまったけど,その後は知らん,で済まされる時代はもうすぐ終わるでしょう。思想や政治観の無いサービスはもう古い,という時代はすぐそこだと思っています。
デライトは,この技術でどのように世界を変えるのか,政治はどう変わらなければならないのか,考え抜いたことを全て開けっ広げにします。それこそ透明性であり,それで離れていく人がいるとすれば,その人に対する誠実さでもあると思います。あとはその思想がどこまで普遍性を持てるかの勝負になるでしょう。
何より,思想臭さは人間らしさです。もし私が目先の利益を貪るだけの動物なら,万に一つも成功の可能性はないと思っていたデライト開発に18年もかけなかったでしょうし,何があろうとこれからの人生の全てを捧げようとも思わないでしょう。これは思想を持てる人間だけが出来ることです。
そう考えると,デライト最大の強みは,どこよりも強い思想に支えられていることかもしれません。